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最高裁判所第二小法廷 昭和28年(オ)856号 判決 1954年2月26日

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士河野太郎の上告理由は別紙記載のとおりである。

論旨は、原判決が上告人の当事者参加の申出を却下したことを違法であると主張するのである。

しかしながら、原判決の判示するとおり、議会は普通地方公共団体の機関であつて、法律関係の主体ではないから、法律に特別の規定のある場合のほか裁判上自己の名において訴え又は訴えられる権能を有しないものと解すべきであつて、議会は、地方自治法七四条の二第八項の「不服がある者」中に含まれないものと解するを相当とする。論旨は東京高等裁判所昭和二四年(ラ)第二〇二号事件を引用するけれども、右事件は、昭和二五年政令一一三号による地方自治法施行令改正前の事件であるから先例とすることはできない。(右改正前の施行令一〇八条は同法六六条一項《選挙又は当選の効力に関する訴訟の規定》を解散賛否投票に準用するに際し、右六六条一項中の「候補者」とあるを「普通地方公共団体の議会及びその解散請求代表者」と読み替えていたので、当時は議会も解散賛否投票の効力又は投票の結果の効力に関し争訟を提起することができるものと解されていた。現行の法令には、このような規定はない、)

以上説明のとおり論旨は理由がないから、本件上告は棄却することとし、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎 裁判官 谷村唯一郎)

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